研究教育概要

「複雑さの中に価値と面白さを見つけよう!」をテーマに,複雑システムの設計プロセス,マルチエージェントシミュレーション,制御システム/機能システムの開発など,様々な研究に取り組んでいます.また,PBL形式の工学教育プログラムの企画・実践に取り組んでいます.

プロジェクト別の詳細はこちらをご覧下さい:Research & Projects


複雑システムの設計/開発プロセスに関する研究

人工衛星や自動車などの複雑システムの設計開発や,複雑な現代社会システムの問題解決デザインにおいては,システムの振舞い・構造やシステムに対する要求などの各要素を明らかにするとともに,要素間の関係性をトレース可能な形で整理し,関係者間で共有する必要があります.「クラウド型システムモデリングツール開発プロジェクト」では,工学教育の現場で得た知見に基づき,システムモデルの共同構築とシステムモデルを通したコミュニケーションのプロセスを提案し,それを実現するためのWEBツールの開発に取り組んでいます.


エージェントベースモデリング&シミュレーション

個々の人や組織,生物などを,一定のルールに従って自律的に行動する”エージェント”としてモデル化し,多数のエージェントが他エージェントや環境と相互作用しながら行動する系の振舞いについてシミュレーション(Multi-Agent Simulation: MAS)を用いて調べています.

■分散型リアルタイムプライシング

電力を消費する需要家エージェントと電力を供給する発電家エージェントをネットワークで結合したエージェントベースネットワークモデルを構築し,電力価格の調整によって需給量のバランスをとるリアルタイムプライシングシステムについてMASによる解析を行っています.その際,グローバルな情報を必要としない,分散的な価格決定の手法を提案しています.


リアルタイムプライシングシミュレータ「RTPsim」を開発

■集団的知性の形成プロセスに関するMAS研究

集団内でのコミュニケーションにおける文章表現に,意思決定および問題分析のための共通ルールを導入することで集団的知性による問題解決能力を向上させる手法を提案し,PBL形式の授業における実験とMASによる分析の両方の観点から評価を行っています.


情報交換による集団的知性向上のマルチエージェントシミュレーション

■ゲームデザインの手法を応用したABMのための対話プロセスの構築

ゲームとエージェントベースモデリング(ABM)はルール,意思決定,相互作用などの共通の主要要素を持ちます.そこで,「マルチエージェントシミュレーションを構築する」=「ゲームをつくる」という捉え方をし,ゲームデザインの手法を用いて異なる分野の専門家や非専門家/実務家と一緒に効果的なエージェントベースモデリングを行うプロセスの構築することにチャレンジしています.


構築を目指す対話手法のコンセプト


飛翔体の誘導制御に関する研究

■将来宇宙輸送システムの誘導制御

空中発射式ロケットや高頻度打上げロケットなどの将来宇宙輸送システムを想定して,その実現に必要な軌道計画,誘導制御,状態推定などの手法提案とシミュレーションによる解析に取り組んでいます.

適応制御

■マルチロータ型飛行ロボットの応用研究

近年急速に高性能化,小型化,普及が進んだマルチロータ(ドローン)を応用したシステムの研究・開発に取り組んでいます.例えば,インフラ点検への応用を目的として,機体の一部を壁面に接触させながらフライトするマルチロータのシステム設計,制御設計,実証試験などに取り組んでいます.


その他の研究テーマ

上記の他,様々な研究テーマに取り組んでいます.

  • 湖沼観測用センサネットワークシステムの開発
  • 惑星探査用ローバーの経路最適化に関する研究
  • ゲーミング手法を活用した教材開発

アイデアを形にする,PBL形式の工学教育

大学で学んだ専門知を応用する能力を含む,「実際の問題を解決する力」を養成するために,ものづくりを伴う問題/課題解決型の教育(Problem/Project Based Learning)に取り組んでいます.中心となるプログラムでは,地元企業や行政機関が抱えている実社会の問題/課題をテーマとし,問題/課題の発見→問題の整理・分析→解決策の提案・設計→試作・試行→評価という,問題解決の基本的なステップに沿った活動を行います.

20150317イノベーション教育学会_ポスター (2)
授業全体の流れ(クリックして拡大)
1回の授業の流れ
1回の授業の流れ(クリックして拡大)

これまでに扱ったテーマの例
  • 照明付き口腔内保清用具の開発
  • 地元温泉資源に適した温水発電システムの開発と応用
  • 新しい宇宙教育用教材の開発
  • 次世代消防防災機械の提案と小型機能モデルの開発
  • イノシシ捕獲罠の遠隔監視システムの開発
  • 太陽光電池パネル清浄装置の改良
  • ナマズ養殖用水質管理システムの開発
関連する担当科目(鳥取大学)
  • 実践プロジェクトⅠ・Ⅱ(H23~)
  • ものづくり実践プロジェクト(工学部各学科,H23~)
  • ものづくり体験実習(H24~H28)
  • 企業とものづくり実践,起業とプロトタイピング(H23~)
  • 地域とものづくり実践(H23~H27)
  • ものづくり基礎講座Ⅰ・Ⅱ(H24~H27)

学生自主プロジェクトによるアクティブ・ラーニング

学生が自主的に取り組むプロジェクト活動と,それを通した学習を支援しています.

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指導・支援を担当している学生プロジェクト
鳥取大学フォーミュラプロジェクト フォーミュラカーの設計製作
鳥取大学カルマンプロジェクト 室内飛行ロボットの設計製作
鳥取大学ロボットラボラトリー ロボットの設計製作,電子工作活動一般
鳥取大学宇宙開発研究会 小型模擬人工衛星「缶サット」の設計製作
独自の人工衛星開発を目指した活動
その他の独自プロジェクト ・汎用型簡易通信プロトコルの開発
・多脚ロボット型動的IoTプラットフォームの開発
・独自3Dプリンタの開発
など

教養教育としての複雑系科学・ネットワーク科学

複雑系科学やネットワーク科学は,現代社会の社会の様々な問題を扱う上で重要な新しい考え方であり,様々な分野と関連があります.そのような新しい科学は,学部・学科を問わず全ての学生にとって重要な教養であると考え,基礎的な内容を教養教育科目として展開しています.

関連する担当科目(鳥取大学・教養ゼミ)
  • 「複雑系の世界」を旅する H25, H26
  • ネットワークと現代社会 H27
  • 複雑な社会をシミュレーションする H28, H29

 


その他の授業協力

上記の他,下記のような授業に協力しています(主にゲスト講義).

協力授業(鳥取大学)
  • 企業経営論
  • 理系のためのグローバルキャリアデザイン入門
  • 日本社会事情Ⅰ